俺、お前に惚れてんだけど。
やっぱり……そうだよね。
あたしを好きだなんて、一瞬の気の迷いで。
……本命は早苗さんだったんだ。
この一瞬で、現実を突きつけられた気がした。
胸が苦しくて、涙がブワッと溢れる。
ダメだよ、ここで泣いちゃ。
あたし達のテーブルの横を、2人が通り過ぎて行く。
とっさに顔を伏せたけど遅かった。
晴斗と目が合ってしまった。
ヤバい。
バ、バレた。
大きく目を見開く晴斗を見て、唇を噛み締めたままうつむく。
このまま顔を上げたら、涙がこぼれ落ちそうだった。
「お、お前……何やって」
「晴斗!今日は早苗とデートでしょ?」
目の前で立ち止まった晴斗と早苗さんの声が聞こえて、さらに激しく胸が痛む。
「ほらほら、こっちもデートみたいだし。邪魔しちゃ悪いじゃん。行こ?」
「……あとで電話するから」
「もー、晴斗ったら!期待させちゃかわいそうでしょ!」
ーーズキン