俺、お前に惚れてんだけど。
早苗さんが晴斗の腕を引っ張る形で、2人は再び歩き出した。
「なんだったんだろうな。今の」
気配が遠ざかって行く中、真田君の声が届く。
「さぁ……人違いじゃない?」
「ははっ。だな。何言ってるかわかんなかったもんな」
「……だね」
『あとで電話するから』
晴斗のその言葉が耳に残って離れない。
電話で何を言われるんだろう。
いや、聞かなくてもわかってる。
早苗さんとヨリを戻したんでしょ?
デートしてるところを見せつけられて、他に何を言おうとしてるかなんて想像がつかない。
良かったね。
……良かったじゃん。
好き、なんでしょ?
何度も何度も涙がこぼれ落ちそうになって、胸がキリキリ痛む。