俺、お前に惚れてんだけど。


早苗さんが晴斗の腕を引っ張る形で、2人は再び歩き出した。



「なんだったんだろうな。今の」



気配が遠ざかって行く中、真田君の声が届く。



「さぁ……人違いじゃない?」



「ははっ。だな。何言ってるかわかんなかったもんな」



「……だね」



『あとで電話するから』



晴斗のその言葉が耳に残って離れない。


電話で何を言われるんだろう。


いや、聞かなくてもわかってる。


早苗さんとヨリを戻したんでしょ?


デートしてるところを見せつけられて、他に何を言おうとしてるかなんて想像がつかない。


良かったね。


……良かったじゃん。


好き、なんでしょ?



何度も何度も涙がこぼれ落ちそうになって、胸がキリキリ痛む。


< 212 / 250 >

この作品をシェア

pagetop