俺、お前に惚れてんだけど。
「はぁ?なんで?」
さっきまで穏やかだった真田君の顔が、急に変わった。
声も低くなって、明らかに怒りをあらわにし始める。
「え?なんでって言われても……他に好きな人がいるし」
「誰だよ。そいつと付き合ってんの?」
鋭い目付きで睨まれて、ますますわけがわからない。
っていうか、なんでそんなことまで聞かれなきゃなんないの?
「真田君には関係ないじゃん」
振ったのはそっちでしょ?
今さら都合が良すぎない?
「なんでそんな冷たいこと言うわけ?」
いやいや、冷たいもなにも最初にひどいことを言ったのはそっちじゃん。
それなのに自分のことは棚に上げて。
なんだかイライラして来た。
「とにかく……真田君とはムリだから。あたし、帰るね」
財布から千円札を出すと、テーブルに叩きつけて立ち上がる。
「バイバイ」
呆然とする真田君にそう言い残し、駆け足でお店を出た。