俺、お前に惚れてんだけど。
それからは家まで一目散に走った。
これ以上あの空間にいるのが耐えられなかった。
早苗さんの高らかな笑い声を聞くのも限界。
何より、真田君との重い空気に耐えられなかった。
「はぁはぁ。く、くるし……」
ただ走っただけなのに、病み上がりの身体にはキツかった。
「おかえり、志帆。ちょうど良かった。今、杏が来てるよ」
玄関に入った瞬間、奏太が気付いてリビングから顔を覗かせた。
「あ、杏が?なんで?」
あたしにはなんの連絡もなかったのに。
「あー、俺ら今付き合ってるから」
「はぁ!?」
意味わかんない。
なんだかもう、今日はわかんないことだらけだよ。
奏太と杏が付き合ってる?
そりゃ、杏は昔から奏太一筋だったかもしれないけど。
なんでいきなりそんなことに?