俺、お前に惚れてんだけど。
「その割には、最初すっごい軽かったじゃん。お母さんの冗談真に受けて、からかわれてるとしか思えなかったんだけど」
「あー、んなこともあったな」
思い出したかのように、晴斗がクスッと笑う。
とにかく軽いっていう印象しか受けなかったあの頃。
だけど、今は違う。
「俺さ。今でこそはっきり気持ちを言うようになったけど、昔は好きとか口に出すようなキャラじゃなかったんだよ」
昔って……早苗さんと付き合ってた時のこと?
「ハズくてムリっつーか、人前でベタベタすんのも苦手だったし。結局そういうのも重なって早苗を不安にさせてたから振られたんだって思うと、すっげえ後悔してさ」
晴斗の後悔。
早苗さんのことがあったから、今の晴斗があるんだね。
人は後悔する生き物で、後悔なくして生きてはいけない。
だからこそ迷って、悩んで同じ過ちを繰り返さないように行動する。
「次に好きになった女は、絶対同じ理由で手放したくねーって思って素直になろうって決めたんだ」