俺、お前に惚れてんだけど。
まぁ、思い過ごしなのかもしれないけど。
「ごちそうさま」
食卓に並んだ料理を一通り食べ終えると、あたしは箸とお茶碗を持って立ち上がった。
「え、もう食べないの?いつもはガツガツ食べてるくせに」
奏太が不思議そうに目を丸める。
ムッ、失礼な奴め。
あたしにだって、食べたくない時くらいあるんだよ。
「いいの!今日は嫌なことといいことが同時に起こったから……あんまり食欲がないの!」
「嫌なことって?」
さらに奏太が空気を読まずに聞いて来る。
頭はいいくせに、そういうデリカシーのなさがたまに困るんだよね。
家族だからって、なんでも話すと思ったら大間違いなんだから。
「関係ないでしょ!じゃあね」
あーあ。
バカだな、あたし。
真田君に言われたことを気にして、食べる量をセーブするなんて。
食べている最中、言われたことを思い出して自然と食欲もなくなってたから別にいいんだけど。
やっぱり男子って、可愛くて頼りない守ってあげたくなるような子が好きなのかな。