私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
「河原君、…授業を真面目にうける気がないなら、教室から出ていってくれないか。」
少し、どもりながらも、河原君の前に立ち、確かにそう言った。
静まりかえる教室内。
司先生の一言で、一触即発の空気になる。周りのクラスメイトは、息をするのも忘れて、司先生と河原君を見ている。
「…もう一度、言うよ。授業をうける気がないなら…ッ!?」
ブォンと風を切る音がした。
風を切って、黒板に当たったそれは、河原君が読んでいた雑誌だった。
黒板の当たった箇所が少し潰れている。
いや、それよりも、一番クラスメイト全員が驚いたのは、河原君の前にいた司先生の頬に一直線の切り傷があり、血が流れていた事だ。
「…き、キャアアアアアアア!!」
女子の叫び声が響き渡る。
遅れて、男子も急いで、先生を呼んでこい!と大声を出して、叫んでいた。
河原君の隣の私は、固まったままだったが。
「…うるっせぇんだよ。クソジジィ。テメェのクソみたいな授業参加してるだけ、マシだと思えよ。」
河原君は、そう言って立ち上がり、黒板の下にあった雑誌を手に取り、教室から出ていった。
授業終了のベルが、教室にこだました。