私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
お昼休み。
いつもと、違い、皆余り会話をしないで、もくもくと暗い表情で食べている。
きっと、河原君の影響だろう。
あの授業の後、司先生は保健室に行って手当を受けた。傷は大したことないが、思っていたよりも、深かったらしい。
あの後、二時間続きの体育の授業に河原君が授業に出る事は、なかった。
私が暗い顔をしていると、るいちゃんがはい。と手作りの唐揚げを箸で摘まんで、私のお弁当箱に乗せてきた。
「…センナちゃん。席、河原君の隣だったから、さっき…ものすごく、びっくりしたでしょ?朝から河原君にヒドイ事されたもんね。」
るいちゃんは、悲しそうに眉を歪めた。
『…あ~、うん。まぁね。河原君に会うの初めてだったし。噂は聞いてたけど、あんな人だと思わなかったし。』
ありがと。と言って、るいちゃんの唐揚げを口に頬張る。うむ、ぷまい。
弟さんには、負けるでしょ?とるいちゃんがにこりと笑う。
『…そんな事ないよ。るいちゃんの作る料理、すごく美味しいし。』
良いお嫁さんになれるよ。と言えば、恥じらうるいちゃん。
うわ、可愛い。和む。
るいちゃんとイッチャイチャしていたら、いきなり凄い音を立てて、隣のクラスの男子が息を切らして、教室に入ってきた。
「…はぁっ、た、大変だ!あの河原と2年の男子が食堂んトコで言い争ってるってよ!」
うわ、マジかよ。度胸あんな、2年。いや、河原がけしかけたんじゃね?と騒ぐ教室内。
おい、行ってこよーぜ。とおちゃらけた男子を筆頭に、教室から出ていく男子達。
わ、私も行ってくる。と女子までも短いスカートをひらひらさせて、走っていく。
「…センナちゃん。あたしたちは、ここで食べてよっか。」
『うん!二人でイチャコラしてよっ。あのね、昨日のテレビでね。芸人の一発芸が面白くて…』
すると、教室の扉からするっと、先程の男子生徒が身を乗りだして、こう言った。
「ちなみに、2年ってのは、剣道部エースのニノマイだってよ。」
私の時が止まった。