私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
授業の後の休み時間を活用して、なんとか5ページ仕上げたが、あと95ページ。道は険しい。


それに、このドリルはページが重なるごとに問題が難しくなっていく鬼畜仕様。


しかも、ご丁寧にページ数は全100ページ。死ねと言われているのだろうか?


高校受験やテスト勉強の様な必死さで、黙々とページを進めていると、いつの間にか、今日の全ての授業が終わり、HRも終わっていた。


一旦、ドリルを鞄にしまい、帰る仕度をして教室を出る。


今日は、るいちゃんはトイレ掃除だったな。鳳先生の鬼畜ドリルが気がかりだけど、まぁ…ギリギリ徹夜したらいけるでしょ。

と、妙な自信を持ちながらも、掃除に向かうるいちゃんに声をかける。

すると、るいちゃんは振り向き、私だと確認すると逆に私の方へ走り寄ってきた。

「…センナちゃん!気持ちは嬉しいけど、今回は掃除手伝ってくれなくても大丈夫だよ。それに、」

るいちゃんは、私の目を真剣に真っ直ぐ見つめて、話始めた。



「…今日は、色々大変な事あったから、ゆっくり休んだ方が良いよ。鳳先生の宿題もあるし…、弟さんの怪我もあるし…、なにより、河原君…のこともあるし、今日は急いで帰って、いっぱい休んで、明日また一緒に、お弁当食べて、いっぱい話そう?」


る、るいちゃん…!!

思わず涙が出そうになった。
るいちゃん、貴方は私の大親友だよ!

と感謝感激感動していると、
るいちゃんがボソリとぼやいた。







「……大勢の人の前で、大声で叫んだ、って後から聞いて…、やっぱり疲れてるんだなぁって、思って。」




…すごい勘違いをされて、らっしゃる。

いや、私が叫んだのは、弟の身をあんじた結果であって、河原君へのストレスのあまり自暴自棄になって叫んだ訳ではありませんよ?とるいちゃんに説明しようと口を開けた時、普段話す事の無い、眼鏡のかけた少し暗そうな男子の学級委員長に肩を叩かれた。


ふと、振り向くと1枚の封筒が渡され、こう告げられた。



「河原君と隣の席のニノマイさんだよね。これ、今日の学校のお便り。凄く、申し訳ないんだけど…俺の代わりに、河原君に渡しておいてくれない?」







ふいに、叫びたくなった。



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