私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
『ちょっと、待って!!』
両腕を×印に固く、固定して、
身を屈めて、低い姿勢を保つ、
そして、全力疾走で駆ける。
私の声に驚き振り向く、ショウの横を風を切って、駆ける。
そして、私の突然の行動に、河原君は驚きを隠せず、降り下ろした腕が、私の頭上の寸前で止まる。
私は、ただ…ただただ無心に、河原君の腹部目掛けて特攻した。目を瞑って。
『……は、話し合いで解決しましょう!』
ドガッ
イヤな音がした。
痛みは感じない。
河原君に殴られた音ではないようだ。
なんの音だろう。
ふと、瞑った目を見開いてみる。
上を見ると、驚愕を隠しきれない河原君の顔。
「ぐえッ!!」
河原君が、重力に従って、倒れる。
グシャ
倒れる際に、
「なん、だ。おまえ…」
と台詞を残して、遺して、屋上の硬いコンクリートに倒れた河原君。
頭を強打した音がしたが、気にしない事にする。
それよりも、
『…か、かわはら、くん!!』
まずは、人命が優先だ。
『河原君!大丈夫!?かわはら…』
彼を抱き起こすも、返事がない。
ち―――ん。
とイヤな音が脳裏に響いた。
「…流石……………おねぇちゃん…。」
ショウが、声を出さずに腹を抱えて、笑い出した。
いや、そうじゃないだろ!
どうにか、しなければ…!!
河原君(故)をどうにかしなければ、
いや、でも生きているかもしれない。
【屋上】、【転落】と悪い悪魔が私に囁いたが、私はとりあえず河原君の腕を首に回して、持ち上げ、
『ほ、ほけんしつ!』
に連れて行く事にしました。