私の弟がヤンデレ過ぎて困る。

『…えーと、ショウ。そろそろ、離してくれないかな。今何時か知りたいし、学校あるからさ。』

私を後ろから抱き締めて、顔を首元に埋め、私の匂いをくんくんと嗅ぐ弟。

まるで、犬みたいだ。と心の中で思いつつも、口には出さない。口に出すと、余計開放してくれなくなるからだ。

「……もう少しだけ、このままでいさせて。…ねぇ、お願い。」

耳元で囁くように、それでいて切なく、掠れた声で私に呟く。

私の腰にまわる腕が、少し力が強くなった気がする。

『……、あと1分くらいなら良いよ。』

私は弟にこう言って、枕の側にあったスマートフォンを弄った。






「…うん。ありがとう。おねぇちゃん。
大好きだよ。」


弟は、照れくさそうに笑った。

私がスマートフォンで
【弟 ヤンデレ 対処法】
と検索していたのを知らずに。


1分と約束したにも関わらず、弟から開放されたのは10分後だった。
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