私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
河原君との学校生活は、私の今までの学校生活を覆す程の、ヒドイものだった。
まず、朝の時点で、担任の佐藤に下駄箱で呼び止められた。
「おい、待ちなさい。ニノマイ。昨日、屋上に行ってなかったか?屋上のドアが吹っ飛んでたんだけど…てか、うわっ!河原!こんな時間に、登校なんて…お前ッ…やれば、できる子だったんだな。って、え?お前なんで怪我してんの?どうした?歩道橋で転がり落ちたのか?」
「…激ウゼェ。」
河原君が、顔をしかめて、嫌悪感丸出しで担任の佐藤を睨み付けた。
そして、佐藤を無視して、上履きに履き替え、ずいずい歩いていく河原君に、戸惑いながら、先生にすいません。後で、お願いします。と一礼して、上履きに履き替る。河原君のカバンが邪魔で、上履きに履き替えずらかったけど。
私が、ようやく履き替えた時、ふと河原君の足音が止まっていたので、顔をあげてみると、鳳先生が河原君の前に立っていた。
「…うわっ、誰かと思えば、コイツかよ。いいから、そこどけよ。鳳くーん。」
「……河原、ニノマイ。今日の昼休みが終わり次第、生徒指導室に来なさい。」
鳳先生は、冷たくそう言った。
無機質に、感情を感じさせない声色で。
「…ハァ?なんで、生徒指導室にいかなきゃならねーんだよ?時間の無駄だろ。あんまり、俺らの邪魔しないで頂けません?」
河原君が、挑発的に鳳先生を睨み付ける。その様子に、鳳先生は耳を疑うような言葉を言った。
「…お前は、黙っていろ。宗家の落ちこぼれが。」
河原君を心から侮蔑するような、冷たい瞳で河原君を一瞥した。
「―てめぇ…ッ。」