私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
『…えっと、確か…、【お口で暴れる極悪炭酸はじめ君】…だよね。』
自動販売機のボタンを押して、ごとりと音をたてて、出口に落ちる。
極悪炭酸はじめ君って、ネーミングセンス可笑しくないですか?
はじめ君って、凄い真面目そうな名前だし、なんなんですか?
極悪炭酸って。
はじめ君、反抗期か。
しかも、飲料に注意事項があって、1日1本以上摂取しないでください。って、じゃあ売るなよ!学校側も、買うなよ!
しかも、味とか曖昧過ぎてよく分かんないし、【淡い青春の失恋の魂(そうる)の叫び味】。
何味だよ!?
中2センスなんですけど。ハイセンス過ぎて、肝心要の味が分からないですが?
『…河原君、味オンチとか、ないよね?』
河原君が凄い味オンチだという疑惑が浮上しながらも、1本200円の無駄に高い炭酸ジュースを買って、教室に戻ろうと振り向いた時に、ドンと誰かに当たった。
『…あっ、すみませ…』
「おねぇちゃん。なんで?」
目の前には、無表情の弟の、ショウの顔。表情が読みとれない顔で、私を淀んだ瞳で見つめる。
「なんで?アイツと学校なんかに行ったの?なんで?俺を…おいていったの?」