私の弟がヤンデレ過ぎて困る。
食卓に並べられた彩り豊かな料理の数々。まるで、ホテルの朝食みたい。といつも思う。ナイフで、オムレツを切ると中から半熟の卵がとろけて出てくる。


「おねぇちゃんは、紅茶にする？珈琲にする？」

黒い色のエプロンを制服を着た上に着て、私に飲み物は何にするか聞いてくる弟。食卓に並んであるものは、もちろん私が作ったものではない。

全て、弟が私が布団で寝ている間に作ったものだ。

この家の家事炊事は、両親が二人とも仕事上の関係で外国に行っており、家を留守にしているため、全部弟がしている。たまに、私がする事も有るが、やはり大半はやりなれている弟の方が上手い。



あえて、私の家での仕事を表すなら、
弟の料理を美味しく戴く係だ。


『珈琲。』


私の弟は、家事炊事を嫌な顔せずにやってくれる。私が、水仕事で手を荒れさせてしまうのが嫌らしい。







「はい。おねぇちゃん。珈琲。」

白いカップに入った、湯気のたったブラック珈琲を私に出す。


『…ありがと。』


私が礼を言うと、弟は少し驚いたような顔をした。だが、すぐに頬を染めて、嬉しそうに笑った。


乙女か。私の弟は。

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