堕ちるのに一秒もかからない
今日は、ライブの日だ。
いつもなら楽しみなのに、今日は妙に緊張してる自分がいる。
なんで?
テレビの中の人たちはずっと余裕そう。
チンッッ-
『あっ』
しまった、さっき焼いてたパン焦がしちゃったよ。
パンなんて焦がしたの一人暮らし始めた時ぐらいだよ。
少し焦げ臭いパンを無理やり口に押し込んで家をでる。
お隣さんが掃除してて、前の家の奥さんが子供を保育園に送っていく、あのサラリーマンは営業で会社をでたばかり。
なんともなくて、毎日あるものが急に目に入ってくる。
やっべ、俺相当やばいんじゃない?
今日は綾花とあおいちゃんがライブにくる。
あおいちゃん…新しい服着てくるんだってこの間一緒に帰ったとき言ってたな。
どんな服着てくんだろ?
そこまで考えて気づいた。
え?今何思ってたの?
なんで、あおいちゃんばっか?
おれ、シスコン治ったの?なわけねぇよな?
なんで?
電車に乗る。
あ、綾花の高校に行く駅だ。
あおいちゃんも、一緒に降りる駅だよな…。
あ、ほら。
ガタンガタンと進む電車の中で過ぎてく景色にうんざりした。
自分でもわからねぇ、感情に少し苛立つ。