ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
荷物をまとめ終わった頃、タイミングを見計らったように扉をノックする音が聞こえた。

「失礼いたします」

入ってきたのは、クリスさんだった。


「クリスさん…」

いつもと変わらないやさしい顔のクリスさんに、あたしは頭を下げた。


「申し訳ありません。お役に立てず…」


けれどクリスさんは微笑みながら「そのようなことはございません」と言う。


「貴女が城にいらしてから、姫はとても楽しそうに日々を過ごしておられた。姫にとってあなたはとても大切なのでしょう」


…あたしよりきっと翔太の方が、姫にとっては特別な存在ですよ。


なんて思ってしまったけど、あたしは黙ったままお辞儀をした。


それから重い足取りで城を出ると、そこには千沙さんがいた。

いつもと変わらない優しい笑みであたしを迎え入れてくれた。



「お待ちしていましたよ、由良さん」


「千沙さん…」



涙が溢れそうだった。




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