ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
体調は大丈夫だろうか。
…この任務が始まってからの由良はどこか可笑しかった。
任務が始まってから、寝てないのか体調を崩していたこともある。
由良が何か悩んでいることも、苦しんでいることも、分かっていた。
それなのに、俺は何もできなかった。思いやるどころか、言い合いまでしてしまった。
しょうもないことでイラついた。
あいつが何かに悩んでいるのに、何も言わないことが苛立ってしかたなかった。
由良に馬鹿だといつも言うけれど、本当に馬鹿なのは俺だ。
あんな意地なんて張らないで、あいつのことを思いやって話を聞いてやれたらどれだけ良かったか。
悔しさで拳を握る。
その強さで爪が手のひらに食い込んで痛くても、どうにもできないこの苛立ちに勝てるわけはなかった。
「おい、翔太!」
姫の側近である晴人が遠くから駆け寄ってきて俺を呼ぶ。
由良がいなくなってしまったため、晴人が由良の代わりに姫の守護のために結界の周りで魔物を退治する役割を担っていた。物音が聞こえて、何事かと思って来たのだろう。
俺と同じ青い瞳、茶色の髪。
同じ血筋だと思わざるを得ない。
…実際そうなのだけど。
「これは…」
倒れた魔物を見て晴人は眉間にしわを寄せた。
「姫を狙う魔物だ。倒した」
「倒したって、お前、こんな酷い…」
それ以上は言わないが伝わってきた。
こんな酷い殺し方をしなくてもいいだろう、と言いたかったのだろう。
俺の作り出した氷の槍なら一撃で仕留めることができる。
けれど今目の前に横たわる小型の竜にはその槍が無数に刺さり魔物特有の紫色の血があちこちから流れていて、もう息はしていない。
…この任務が始まってからの由良はどこか可笑しかった。
任務が始まってから、寝てないのか体調を崩していたこともある。
由良が何か悩んでいることも、苦しんでいることも、分かっていた。
それなのに、俺は何もできなかった。思いやるどころか、言い合いまでしてしまった。
しょうもないことでイラついた。
あいつが何かに悩んでいるのに、何も言わないことが苛立ってしかたなかった。
由良に馬鹿だといつも言うけれど、本当に馬鹿なのは俺だ。
あんな意地なんて張らないで、あいつのことを思いやって話を聞いてやれたらどれだけ良かったか。
悔しさで拳を握る。
その強さで爪が手のひらに食い込んで痛くても、どうにもできないこの苛立ちに勝てるわけはなかった。
「おい、翔太!」
姫の側近である晴人が遠くから駆け寄ってきて俺を呼ぶ。
由良がいなくなってしまったため、晴人が由良の代わりに姫の守護のために結界の周りで魔物を退治する役割を担っていた。物音が聞こえて、何事かと思って来たのだろう。
俺と同じ青い瞳、茶色の髪。
同じ血筋だと思わざるを得ない。
…実際そうなのだけど。
「これは…」
倒れた魔物を見て晴人は眉間にしわを寄せた。
「姫を狙う魔物だ。倒した」
「倒したって、お前、こんな酷い…」
それ以上は言わないが伝わってきた。
こんな酷い殺し方をしなくてもいいだろう、と言いたかったのだろう。
俺の作り出した氷の槍なら一撃で仕留めることができる。
けれど今目の前に横たわる小型の竜にはその槍が無数に刺さり魔物特有の紫色の血があちこちから流れていて、もう息はしていない。