ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「"アイス・アロー"!」


魔物と相対したときはいつも、先代から叩き込まれた戦法がいくつもいくつも脳裏に浮かんでくる。その中で今の状況に最適なものを導き出す。


…飛ぶ鳥は、落としてから仕留めるのが定石。


放った青白い光の矢は放物線を描いてチューチュエに命中した。

チューチュエはその痛みにもがくように叫び声をあげると落下した。

落下した後ももがき叫び声をあげるチューチュエに、もう一度氷の矢を作り出すとその矛先を向けた。


そして呼吸を整えると、放つ。

パシュ、と鋭い音と共に放たれた矢はチューチュエの赤い胴体に突き刺さった。

一際大きな叫び声をあげたチューチュエは、その後身体を動かしてもがいたりすることはなかった。

ただ息をするのに精いっぱいだと言わんばかりに大きくその胸を上下させる。


それを見て決していい気分になったりはしないけれど、こうでもしなければやられていたのは俺の方だとも思う。

後で治癒魔法をかけようと心に決めながら、首元に取り付けられた緑色の機械を取り外す。

…これが何なのか、誰が作ったのか、それが分かれば、犯人も分かるかもしれないのに。


でもそれを調べるのはまた後だ、とポケットにしまいながら、杖を向けた。


「"ヒ-リング"」


この治癒魔法で傷をつけた全てが回復できるわけではないだろうけど、やらないよりはましかもしれない。


「…こんな戦い方しかできなくて、すまない」


俺が由良なら、きっとこんなに傷つけたりはしなかっただろう、と考えて深くため息を吐きだした。
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