ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
結界の内側はそれまで見ていた景色とは全く違った。

凛とした空気が漂っている。

燦々と降り注いでいたはずの太陽は生い茂る木々に覆われて薄暗く、時折葉の隙間から光が差しこむ。

そして目の前には横幅5メートルはあるような枯れた巨木の切り株が道を塞ぐように横たわっていた。

青緑色に光る苔が表面を覆っている。揺れる木漏れ日に反射していて、それは本当に美しかった。

「すごい…」

思わず声を漏らすと「ここは神聖な場所だからな」とまっすぐ前を見据えながら譲二さんは言った。

「ここ、ラトセーヌの森は王国が誕生したときにはすでに青々とした木々が生い茂っていたと古い文献には記述があるらしい」

「どおりで、こんなに美しい」

地上に盛り出た、うねるような巨木の根。

朽ちて腐った木が無造作に倒れて、その表面は光る苔で覆われている。

「お前くらいだろうな、この景色を見て美しいと言えるのは。大概の者はこの空間に圧倒されたり、気持ちが悪いと言い出すのに」

譲二さんは感心しているのか貶しているのかどっちとも取れない言い方をした。


「美しいと思いますよ。だってこんなに、生命が息をしている」


あたしは光る苔に近づいてじっと観察した。

まるで翡翠の宝石のように光輝いている。


「えらく苔が気に入ったんだな」


呆れたような声が聞こえて顔を上げると、そこには呆れ顔の翔太がいた。


「当たり前だよ!」


あたしはすぐに言い返すともう一度苔をうっとりと見つめた。


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