ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「だってこれ、ジェイドだよ、ジェイド!眩暈や立ちくらみなんかの薬に使われるとっても重要な材料だよ。信じられない、こんなに美しいなんて」

ジェイドの名前は、宝石の翡翠(ジェイド)からとられたと言われている。

だけど市販に出回っているものは光り方が弱く、微かにしかその光を感じることはない。

ジェイドなんて大袈裟な名前を、と以前は思っていたけれど、これを見て名付けた人の感覚がどんなに素晴らしいか思い知った。

宝石のように、いや、宝石以上に光り輝く美しいものを、あたしはこれ以外に知らない。


「美玲に見せたいな」


魔法薬学に情熱を燃やしている彼女だ、この景色を見てどんなに喜ぶだろうと想像すると自然と頬が緩む。


「一般人をこの結界内に入れることは断じて許さない」


強い口調の言葉が降り注いでそちらを向くと、譲二さんが眉間にしわを寄せて腕組みをしていた。


「結界の中になど、本当は誰も入れるなどないのに」

忌々しいと言わんばかりの口調で呟く譲二さんは「先を急ぐ」と歩き出した。

歩き出したものの、道はなかった。

ありとあらゆるとろに木の根や岩、倒木があるのだけど、その大きさが尋常じゃなく大きい。この地の生命を感じることは感じるのだけど、それ以上に前途多難というか障害物しか見えてこない。


「おい、何をぼさっとしている」

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