ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
呆然としていると譲二さんの声が聞こえた。

はっと声がした方を見ると、譲二さんは幾重にも重なる倒木を難なく上り切ると「早く登ってこい」と言う。

今までは魔法が使えた。でも今は結界の中だから移動に関する魔法は使えない。

つまり譲二さんのところへは自力で登るしかない。

あたしは思わず翔太の方を見た。

翔太が顔色一つ変えずに登っていくのを見て、あたしも覚悟を決めざるを得なかった。

ここで諦めたくない。諦めたら、依頼を遂行できない。


必死になってなんとか登りきると息が切れた。


譲二さんは「これでへばっていたら持たないぞ」と言うとその木から降りて進んでいく。

木の上に立つと先が少しだけ見えた。

どこに泉があるのかは分からない。だけど、これだけははっきりしていた。

まだまだこの障害物はあるということ。


「何をしている!」

「は、はい!今!」

返事をすると慌てて木を降り、次は巨大な切り株を登り始めた。


姫様は毎日、こんな道のりをたどって泉まで向かわれるのだろうか?

だとしたらどれだけパワフルで筋肉質なんだろう。

思い描いていたジュリア姫とは全く違う人物像が出てきてあたしは慌ててそれを脳から追い出した。

今はそれを考えている場合じゃない。目の前の障害物を乗り越えなくては。


「あの、張られている結界ってどんな種類のものですか?」

切り株などの障害物を軽々と乗り越えて進んでいく譲二さんに追いつこうと必死にになりながら尋ねると、譲二さんはこちらを振り返ることなく答えた。

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