ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
首を傾げていると翔太は「水ですか」と呟くように言った。

「水?」


またあたしが首を傾げると、「ちょっとは頭回せよ、それだけの知能があるだろうが」と翔太に怒られた。


「循環型結界では球形の結界が構築される。今展開されているこの結界は、地上部分に出ているのが半球の形だから、おそらくこの半球と同じ大きさの結界が地中にも…」


「その通りだ」


譲二さんは渋い顔をした。


「強力な結界が張られたことによって、地下水の流れが止められてしまった。姫様が守護なさる泉から湧き出た神聖な水が、結界の外に出て行かなくなった」


あたしは分からず「それは、大変なことなのですか?」と問うた。


「当たり前だろう!」


振り返って譲二さんは怒鳴るように言った。さも当然と言わんばかりの口調であたしを責める。


「泉から湧き出た神聖な水には純粋な魔力がある。それがこの地の森の栄養源ともなっているのだ。それが供給されないとなれば、森は枯れ、やがて泉も枯れる。泉が枯れれば王国中の水はなくなるだろう」


「そんな!」


あたしが絶句している横で、翔太は「それで、いつまで持ちそうなんですか」と問いかけた。


「詳しいことは姫しか分からない。が、あまり楽観的には見ていられないだろうな」


譲二さんは苦い顔をしていた。


「本当ならば今すぐに姫様を安全な場所に移し、魔物どもを討伐してやりたいくらいだ。しかし、姫のご意向には逆らえない」


拳を握る譲二さんはふっと顔をあげると「この先だ」と言った。

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