ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「だけどそんな魔物だけじゃない。昔からずっと魔物は魔法使いと共に生きてきました。魔法使いにとって大切な存在です」


あるものは共に戦い、あるものは神聖の象徴に、またあるものはその一部が薬にもなった。

様々な形でわかり合ってきた。支え合ってきた。

それは昔だけじゃない、今だって同じだ。


「あたし達と同じように、彼らも生きている。自由に、どこまでも自由に、彼らは生きているのです」


頭には雄大な大地を駆ける姿が、大空を羽ばたく姿が、海を泳ぐ姿が浮かんでいた。

目を閉じれば、ほら、今そこに、そんな魔物たちの姿があるような気がした。


小さい頃から不器用で嫌なことばかりの連続だったあたしは、いつだって憧れていた。

自由に生きる彼らがかっこよくて、うらやましくて、憧れた。


「だからこそ、あたしは、魔物達を殺したくないのです。傷つけたくない」


魔法使いからしたら悪いように見える魔物たちも、きっと彼らからしたらもっともな理由があるはずなのだ。

そんな自由に大地を駆けているだけの彼らを、自由に羽ばたいているだけの彼らを、自由に海を泳ぐ彼らを、どうして殺さなければならない。


「有名な魔物退治屋の娘が魔物を殺したくないなんてそんな意見を持ってるなんて知ったら笑われますよ、そんな甘いことを言うなんて、って言われたこともあります」


そんな甘いことを言っていたら被害が拡大するのだ、だとか。

魔物を退治することが仕事だろう、だとか。

何回、何十回、何人もの人に言われた。


「それでもあたしは、この意見を変えない。変わらない」

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