ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
*第2章*
笑顔の下に
その後は姫が作ったリーリアの実のクオートを頂いた。
きつね色にこんがり色づいた丸形のクオートには、リーリアの実の赤色が所々に散りばめられている。
口に含むとリーリアの実の甘酸っぱい味と生地のふんわりとした甘みが口いっぱいに広がって幸せな気持ちになった。
とても美味しいと伝えると姫は「晴人に教えてもらったのです。晴人は何でも知ってるのですよ」と嬉しそうに語った。
晴人さんは恥ずかしそうに「姫はお菓子作りがとてもお上手ですから」と言った。
姫の発言はあったけれど、あまりの美味しさに思わず笑顔が零れる。
けれど翔太は目を伏せて、無言で一口また一口かじった。
翔太の名前を呼ぶけれど、翔太は何も言わない。
よく見るとわずかに目を見開いて俯いていて、なぜだか悲しそうな顔をする。
「…お口に合いませんでした?」
気まずそうに姫がそう言うので翔太はバッと顔をあげて「いえ、すごく美味しいです」と強い口調でそう言い切った。
「…ただこの味が、とても懐かしくて。亡くなった祖母が作ってれたクオートととてもよく似ていたので、つい思い出してしまいました」
とても美味しいです、と翔太は笑った。
「またこの味と出会えるなんて思っていなかった」
泣きそうな笑顔だった。
翔太のお祖母様、"サファイア"の先代でもあるソフィア様はとても優しい方だったと聞いている。幼い頃に両親を亡くした翔太と翔太のお姉さんを大切に育ててくれたと。
クオートは家庭の味だ。
だからどんなクオートも幼い頃から食べていた味には勝てない。
だって自分が小さな頃から慣れ親しんだ味が1番美味しいのだから。
「お祖母様、お目にかかったことはございませんが、きっとお優しい方だったのですね」
姫は慈しむように優しい顔をした。
きつね色にこんがり色づいた丸形のクオートには、リーリアの実の赤色が所々に散りばめられている。
口に含むとリーリアの実の甘酸っぱい味と生地のふんわりとした甘みが口いっぱいに広がって幸せな気持ちになった。
とても美味しいと伝えると姫は「晴人に教えてもらったのです。晴人は何でも知ってるのですよ」と嬉しそうに語った。
晴人さんは恥ずかしそうに「姫はお菓子作りがとてもお上手ですから」と言った。
姫の発言はあったけれど、あまりの美味しさに思わず笑顔が零れる。
けれど翔太は目を伏せて、無言で一口また一口かじった。
翔太の名前を呼ぶけれど、翔太は何も言わない。
よく見るとわずかに目を見開いて俯いていて、なぜだか悲しそうな顔をする。
「…お口に合いませんでした?」
気まずそうに姫がそう言うので翔太はバッと顔をあげて「いえ、すごく美味しいです」と強い口調でそう言い切った。
「…ただこの味が、とても懐かしくて。亡くなった祖母が作ってれたクオートととてもよく似ていたので、つい思い出してしまいました」
とても美味しいです、と翔太は笑った。
「またこの味と出会えるなんて思っていなかった」
泣きそうな笑顔だった。
翔太のお祖母様、"サファイア"の先代でもあるソフィア様はとても優しい方だったと聞いている。幼い頃に両親を亡くした翔太と翔太のお姉さんを大切に育ててくれたと。
クオートは家庭の味だ。
だからどんなクオートも幼い頃から食べていた味には勝てない。
だって自分が小さな頃から慣れ親しんだ味が1番美味しいのだから。
「お祖母様、お目にかかったことはございませんが、きっとお優しい方だったのですね」
姫は慈しむように優しい顔をした。