ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「べつにー?」

ニヤニヤした表情であたしがそう言うと、翔太は思いっきり不機嫌な顔をした。

「由良のくせにむかつく」

「あたしのくせにって何!?」

ああだこうだと言い合っているうちに、あっという間に結界の西側に着いてしまった。

結界の中に入り、しばらく進むと小屋が見えてきた。


「ただいま戻りました」

小屋に入ると晴人さんが出迎えてくれた。


「お帰りなさい…って、由良様!どうかなさったのですか?」

翔太に抱きかかえられているあたしを見て、晴人さんは焦ったような表情をする。

「魔力を消費しすぎただけだ」

小屋の中の椅子にあたしを座らせながら、素っ気なく翔太は言った。


「それよりチーリンがいるなんて聞いてない。どういうことだ」


責め立てるような翔太の言葉に、晴人さんは目を見開いて呟くように「チーリン…?」と首を傾げた。


「チーリンって…あの黄金の麒麟ですか?かつて人々をこの国に導いたという伝説の?そのチーリンが現れたのですか?」

「そうだ、そのチーリンが現れた。なんだ、知らなかったのか?」

晴人さんは呆然としていた。

「…強力な魔物に遭遇することはここ最近多く、衛兵も手こずっていました。守護の強化のためお二人をお呼びしたのはそのためです。けれどそれはワイバーンの亜種や、ドラゴンの類のものばかりでした。…チーリンがこの地に現れるなど、未だかつて聞いたこともありません」


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