距離
それから私は裕真のことを話始める。

出会ったときのこと、顔をくしゃくしゃにして笑うこと、星を掴めると思っていることまで。
ただ、頭を撫でられていることは言わないでいた。なんとなく、恥ずかしいからだ。


「でも、出会いが不自然よね…なんで名前が一致するの?」
「だから偶然っていうんじゃないの?」
「………」

真奈はやたら真剣な顔をしはじめた。
「真剣な顔はやめてよ〜出会いはね、気にしてないの。今はそれでいいと思うし…」
「そうね」
まだ納得がいかないみたいだった。

私は冗談のつもりだった。真奈がまたバカね、と笑うものだと思ってた。
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