距離

触

家に入ると、裕真は温かいコーヒーを出してくれた。
何も言わなくても、きちんとミルクだけ（私はブラックは飲めない）入れてくれている。

「美味しい」

まだ心臓のドキドキは止まらないけれど、いつものコーヒーが私の理性を保っていてくれている。

「そういえば、なんでブラック嫌なの？」
いつだったか、裕真はコーヒーはブラックじゃないとコーヒーとは言えないと言い、ブラックを飲めない私を『お子様』とバカにしていた。
…そういえば、裕真は私がブラックを飲めない事を始めから知っていた。