距離
私は裕真にそのこと告げると、やっと真剣になってくれ、真奈と話してくれることになった。




真奈は随分やつれていたが、裕真を見るなり抱き着いてきた。

「裕真、裕真、裕真っ」
そう言いながら裕真を抱き寄せる真奈は滑稽で、私たちは動けなかった。

「裕真、会いたかったの。大好きよ、ほんとよ」
真奈は泣いていた。

そういえば、私は初めて真奈の涙を見たと思う。
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