距離
「あの星、掴めないかな?」

裕真がやけに子供じみたことを言った。
やはりこの人は小学生ではないかと思う。

「無理よ、遠すぎるわ」

やけに冷たく響いた言葉に、少し後悔した。

「…でも、ほら」

裕真は空に手をのばす

「手の中にあるじゃないか」

そして、繋いでる手を強く握ってきた。

…−無理よ。
だって、星は遠いんだもの。
そうやって夢を見る人は、いつか夢だと気付いて絶望するの。

言葉には出さず、心で返事をした。
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