溺惑バレンタイン(『恋愛遺伝子欠乏症 特効薬は御曹司!?』番外編)
亜莉沙はお会計をしてもらおうと係員に合図をした。バッグから財布を取り出しながらロビーを見ると、航は自動ドアを抜け、フロントデスク目指して一直線に歩いて行く。
(ホテルに泊まるとは聞いてなかったけど……)
彼のことだ。亜莉沙をびっくりさせようと思って、こっそり予約していたのかもしれない。
それなら追いかけない方がいいよね、と亜莉沙は座り直した。航はフロントで手続きをしてキーを受け取ると、閉まりかけていた扉からエレベーターに飛び乗った。
(荷物を置いてくるのかな)
航がまた降りてくるのを待っていたら、レストランの予約時間に十五分以上遅れることになる。
(先に行っておいた方がいいよね)
亜莉沙は航に、〝先にレストランに行って待ってます〟とメールを送ると、テーブルで会計を済ませてラウンジを出た。エレベーターに乗ってレストランのある十階で降りる。落ち着いた淡い照明のそのレストランに近づくと、高級感あふれる雰囲気に気後れしてしまいそうになる。
「いらっしゃいませ」
入り口のところにいた案内係の男性に声をかけられ、亜莉沙はドギマギしながら答える。
(ホテルに泊まるとは聞いてなかったけど……)
彼のことだ。亜莉沙をびっくりさせようと思って、こっそり予約していたのかもしれない。
それなら追いかけない方がいいよね、と亜莉沙は座り直した。航はフロントで手続きをしてキーを受け取ると、閉まりかけていた扉からエレベーターに飛び乗った。
(荷物を置いてくるのかな)
航がまた降りてくるのを待っていたら、レストランの予約時間に十五分以上遅れることになる。
(先に行っておいた方がいいよね)
亜莉沙は航に、〝先にレストランに行って待ってます〟とメールを送ると、テーブルで会計を済ませてラウンジを出た。エレベーターに乗ってレストランのある十階で降りる。落ち着いた淡い照明のそのレストランに近づくと、高級感あふれる雰囲気に気後れしてしまいそうになる。
「いらっしゃいませ」
入り口のところにいた案内係の男性に声をかけられ、亜莉沙はドギマギしながら答える。