将来、猫になりたい。

私の夜

私の15歳最初のディナーが終わりを告げようとしていた。
それはいつもより充実しているように思えた。
サラダにチキン、それはいつも行事ごとにある食事とはほとんど変わらないが今日は管理人さんの手作りらしい。
あたたかい。
とっても。
食べ物自体はもちろんのこと、体もあったかい。
それに加えて胸の辺りがふわふわしてあったかい。
なんだろうか。
この気持ちは。

わからない。

そういえば何処かの本に書いてあった気がするのだ。
わからないのは、それを知らないということだ。
と。
そして同時にそれを知りたくなかったことなのだと。

だから私はあえて、知らないことだという解釈にするとする。
なんといったって知りたくなかったことだと気づいたとき、どうなるのか。
それが怖いのかもしれない。
気づいてしまったときの末路を本は語ってはくれなかった。

だから、このことは知らないこと。
知らなかったことにする。

そういえばバースデーケーキ。
いつも四号ワンホールなのに今年は四号ワンホールを2つに切り分けられていた。
なぜだか、やっぱりわからないのだ。
深く考えるのはやめて、皿を洗おうか。

床がフローリングにも関わらず、スネ辺りの高さの足の低い四角い木造の折り畳みの机がある。
その机の上にある5つのお皿を全て重ね、シンクまで持っていく。
水を出して洗った。
冷たい水が、なんだかぬるま湯のように感じて気持ちよかった。
お皿を洗い終えるとタオルで丁寧に拭き取りそのまま食器棚に入れる。
今日は夜景を見る予定だ。
また何か口に入れたくなるだろう。
お皿をまた使うのだ。
じゃあすこしくらい濡れててもいいじゃないか。
誰に訴えるわけでもなく、自分を正当化するために言った。

そして私はゆっくり、かかとから地面について、爪先で地面を押し上げる。
止まる。
また、同じことをする。
そうして、窓際まで歩いていった。
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