近くて遠い
出会い
君との出会いが
眠っていた私の感情を起こしたんだよ?
君との出会いは奇跡に近い必然なのかな。
あの日の私は美術のポスターの完成に取り掛かっていた。
友達の花那(かな)と奈和(なお)と楽しく話しながら。
「昨日、仁(じん)って子から電話があったんや。」
と花那が言った。
「なんで!?」
と素早く食いつく奈和。
「なんか雅人(まさと)の友達らしいんやけど。」
「うちもメールしたい!」奈和は男には目がない。
「てか、弥生(やよい)は雅人とメールしな。今度出かけるんやし。」
奈和がすすめる。
私はその頃男より友達だった。
「……うん。」
そのあとは奈和が花那に質問ぜめ。
その間にポスターが完成した。
「奈和、そのくらいにして早く帰るで!」
私は美術室をあとにする。
「まってぇ!!」
「花那も帰る。」
花那が私のあとを追う。
「弥生、助かったわぁ。ありがとう!」
「ええって。いつもの事やん?」
花那と私は笑う。
「何々? 何の話し?」
奈和が入る。
「……何もない。」
花那の嘘はバレバレになる。嘘がつけないタイプ。
「ん? 今日のドラマの話しやんな? 花那。」
すかさず私が助け舟を出す。
「そうそう。花那、ドラマ見たくて!」
「そうなん? 今日は…」
いつもこんなカンジ。
「ただいま。」
そのまま2階へ上がり、ベッドに倒れ込む。
「そうや、メール…。」
…―プルル。 ガチャッ
「はい。長瀬です。」
「あっ。奈和? 雅人って子のメアド教えて。」
「ちょっと待ってな。」
数分後
「言うで。」
奈和はアドレスを読みあげる。