近くて遠い
私は笑った。
「なんで!?」
「なんでも。だって花那の心を勝手に教えたらアカンやん?」
「そう…やけど……」
仁は少し下がった。
でも、それがおもしろかった。
「…じゃあ、切るな?」
私は切るのをすすめる。
「切るなよ。」
「なんで?」
「暇やから。なぁ雅人!」
電話の向こうで雅人が“おう”と言う声が聞こえた。
「あのなぁ。今何時やと思っとん。12時やで?」
そう。この時12時をまわっていた。
本来は寝ている時間なのだ。
「だから?」
「眠いから寝る。」
「………寝んなって!」
いきなり雅人に代わる。
ちょっとだけ嬉しかった。
何故嬉しいのかは分からなかった。