最後の恋愛Ⅱ
「やっぱり・・・」

「ん?」

「やっぱり、冗談だったんじゃないでしょうか?幾らなんでも、あの人が私を好きになるなんて、ありえなさすぎて想像できないっていうか・・・所長にも失礼っていうか・・・」

柳生はくすくすと笑って言う。

「何で失礼なのよ、ま、昨日の今日で、かつ、金曜に男にフラれたばっかりで、人を信用できない気持ちは分からなくはないけどね。」

「ですよね・・・?」

やっぱり・・・

「けど、分かってると思うけどあいつはそういう冗談はしない男だと思うわよ?ま、一度メールなりラインなりしてみりゃいいじゃないの。で、逐一報告してね?」

逐一の報告はおいといて・・・

メールか・・・ライン・・・

けど、仕事中に邪魔するのもなんだし・・・

私ももう子供でもないし

そんな、相手の気持ちを確かめるために、昨日の今日でこっちから電話するのも、何か私ばっかり気にしてるみたいで癪に障るし・・・

ていうか、そうだよ。

大麦は気にならないのか?

私のことが

あんな何回もキスしといて、指絡めておいて

抱きしめといて・・・

嫌だって言うくらい愛してやるとか、俺の女だとか言っておいて・・・

「あ~~~もうっ!」

私はせっかくブローしてきた髪をぐしゃぐしゃとかき乱して声を上げた。
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