最後の恋愛Ⅱ
「おうちから持ってきた玉露を入れたの、とっておきのやつよ。どう、美味しい?」

玉露とは・・・

こいつは驚きだ。

っていうか、いつの間に・・・?

いや待てよ?

家から持ってきたってことは、この勝負をすることをそんな前から決めていて、準備していたと・・・?

怖い・・・、なんて恐ろしい娘さんなんだ・・・。

大麦は湯のみをデスクに戻し、うんと頷いて如月さんを見遣った。

「美味い。」

チクッ

思わず、胸に針が突き刺さるみたいに痛んだ。

ん、なんだっ?

肩こりか?

―いやいや、傷ついたりなんかしてないよ?

別に、大麦のことなんてどうとも思ってないし。

「よかったぁ。」

嬉しげにきらきらとした笑顔を向ける。

なんだかなぁ・・・

もう、このきらきら感だけで、負けてると思うんだけどな・・。

私がこの子に勝ってる部分なんか、ひとつもないと思う。

いや、間違いなく。
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