最後の恋愛Ⅱ
「じゃ、次は森さんね。」

お、オバサンとは言わなかったか。

一応、礼儀をふまえたかな?

如月さんからトレーを受け取り、大麦に近付く。

「大和」

小声で名前を囁かれ、ドキッとして顔を上げた。

とてつもなく優しい顔をして見つめている。

や、やめてよぉぉぉ

ここどこだと思ってんだ?

いつもはしないような顔で、こっちを見るな!

「は、はい、所長!」

すいっと湯のみを差し出して、笑顔を返す。

「どうぞ!」

このタラシめ!

惑わされないぞ、私は。

「どうも」

そう言って、湯のみを手に取り、口をつけた。

・・・ん?

大麦は、口にお茶を含んだまま、眉をしかめた。

何・・・何だ?

何かまずかった?

いや、いつもどおりお茶を入れただけだけど、そんなヤバイ顔をするようなことは何もした覚えはない。

ええ・・・何で?
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