最後の恋愛Ⅱ
「え?何で?美味しいお茶対決なんだよ?弥生の入れたお茶の方が美味しかったんだから、弥生の勝ちに決まってるでしょ!」

だよね?

如月さん、絶対に私のお茶に何か細工してるもんね。

私のお茶は最悪なのは、あの大麦の表情から見ても分かる。

「けど、俺が美味いって思った方の勝ちなんだろ?」

「そうよ、だから!」

「だから、森くんの勝ち。俺には、こっちのが美味いの。」

「嘘っ!」

「嘘じゃないって。」

「だって、残してるじゃない!美味しいんなら、じゃあ、何で残してるの?」

う・・・

鉄火面大麦にあんな顔をさせるアイテムを飲み干せと?

あんたも相当のサドだな。

けど、大麦に迷いは感じられない。

誰が止める間もなく、湯のみの中に残った液体をぐいっと飲み干した。

手の甲で唇を拭って、「美味かったよ」って、言うと私に向かって微笑んだ。

いつもの、私にしか見せない優しくて、どっかエロイ顔で・・・。

ぐあ・・・

再び顔が熱くなる。

だめだ、ここは仕事場だぞ?

落ち着け私!

こんななんちゃってイタリア人に騙されてなるものか!
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