最後の恋愛Ⅱ
それは、さっきの資料、それである。

え・・・?

訂正・・・って

「大和は、ちゃんと資料を共有フォルダに入れてくれてあるからいつも助かるよ。ああ、これで良い。5部刷っておいて。予定通り会議スタートできるな。」

・・・

ちょっと

ちょっとちょっと、ちょっとぉぉ!

「もしかして・・・」

大麦は、私の横顔に視線を落として、にまりと微笑んだ。

「騙してごめんな?」

「やっぱり!」

やっぱりか!

数字の訂正は、もう柊くんに頼んであったってわけか!

だからの余裕だったわけか!

それで、こんなことするために―、私をまた会議室に呼んだわけか!

むむむむむむ・・・

大麦の―

「っの、スケベっ!」

鬼畜っ

変態っ

セクハラオヤジっ!

私は、またまたまた騙されて、しかもこんなとこで!

こんな場所で!

こんな時間に!

こんなことを―!!!

「キライっ!」

ふいっと顔を背けて、私は駆け出した。

呆然とする柊くんの隣を駆け抜けて・・・・・・・

行き着く先は、お手洗いだ。
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