最後の恋愛Ⅱ
私の前でひざまずいていた大麦が立ち上がる。

「マジ・・・?」

私はふっと笑って言った。

「何、さっきの私の台詞ね。」

「冗談だろ?」

「冗談なんか言わないわよ、こんなときに。」

ふいっと背中を向けて歩き出す。

周囲の野次馬をすり抜けて私は、出口へと向かう。

大麦は、急いで追いかけてきて言った。

「大和っ、待てって!」

慌ててる大麦は、これまであったたっぷりの余裕がなくなっている様子。

何だ、こんな顔もできるんじゃないの。

よしよし

「何よぉ、私帰るんだから、大麦もさっさとおうちに帰りなさい。」

「ちょ、そんな―」

大麦は、私の前に立ちふさがった。

「やだ!」

大麦は、眉間に深い皺を刻んで言う。

「大和は俺のものだ。誰にもやらない。絶対に。」

も~っ

またそういうことを言う・・・

「私は、誰のものでもありませ~ん。」

「俺が欲しいだろ?」

「別に?」

「嘘だ、さっきまであんなに感じてたじゃないか!」

ちょおっと、こういう場所でそういうことを大きな声で言うんじゃないわよっ
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