最後の恋愛Ⅱ
玄関の扉を空けて、しばし呆然。

そこには、いつものスーツ姿ではない、若々しい大麦の姿があった。

カジュアルスタイルとはいえ、引き締まったボディを隠しきれないお洋服。

う・・・

なんだなんだ

いつもと違いすぎて、戸惑うぞ!

「あ、お、おはようございます。」

大麦はにこりと微笑んだ。

「おはよ、ごめん早すぎたか?」

はっとした。

まだ、髪を巻いてる途中だ。

「す、すみませんだらしないカッコで、どうぞ、入って待っててください。」

どうせ、一人暮らしだし。

ん?

じゃあ、お邪魔しますと言って入ってくる大麦の背中を見つつ私は思った。

これは、狼を巣に招き入れる兎のようなものなのではないか?

忘れていた、こいつが猛獣なのだということを!

いやいや、まさかこんな朝っぱらから、いくら野獣といえどもまだ眼を覚ましてはいるま・・・

「何もしないって。」

再びハッとした。

カァァと顔が紅くなりとっさに腕を顔の前にやる。

「なっ」

大麦は困ったように微笑んで言った。

「それとも、して欲しいのか?」
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