最後の恋愛Ⅱ
確かにそうだ。

結構可愛い顔してるんだから、もっと自分のことを考えてくれる男と付き合えばいいのに。

どうして傷つきたがるんだ?

泣くぐらいなら、最初からそんなチンケな男となんか付き合わなきゃいいんだ。

俺は酒を煽って言う。

「やっぱ、ああいう女は俺のタイプじゃない。」

絶対だ。



そう、思ってた。

大和の姿をこのBARで見つけたあの6ヶ月前の夜から5ヶ月前くらいまでは。

俺は違う。

こういう女は好きにはならないって。

けど、マスターの考えがやっぱり当たってたんだろうな。

俺はいつの間にか、涙もろくて酒に弱くてとんだ二面性のあるこの森大和って女に・・・惚れてた。

あいつの可愛いとことか、魅力を感じるとことかなんて、俺が分かってればそれでいい。

あいつを感じさせるのも・・・悦ばせるのも・・・俺の腕の中だけでいい。

いつの間にか、そんなふうに考えるようになっていた俺は、愛とか恋とかをはじめて知った恋愛初心者だった。

「・・・だせぇ。」

女に不自由したことのない俺が、もう半年も片思いをしてるとは。

お釈迦様でも思うまい。
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