最後の恋愛Ⅱ
「そ、そうですかぁ!いやぁ、テレビや新聞ってのは、あてにならないなぁ!」

と、大げさに言って顔を逸らした。

くすっと笑うと大麦はフロントガラスに視線を戻した。

ドキドキ

何だか、いつだってこいつのペースに巻き込まれてしまっている気がする。

「え~と、今日はどこに?」

「うん、観たい映画があるんだけどその前に食事しようかなって。イタリアンとか好き?」

「映画・・・」

そういや、今やってたっけ。

アクション映画の名作って言われてる「ハイザード」のリメイク。

観たいって思ってたんだよね・・・。

ハルは映画好きじゃないし、独りで行くんならDVD出るまで待とうって―

朝食をカフェで済ませて、映画館にたどり着いた。

その間、大麦と手をつないだままだったけど、劇場に着いた途端、そんなことは忘れていた。

だって・・・

思っていた、そのハイザードだ!

しかも、予約していたのかいっちばん良い席だ!

高かっただろう、大麦!

「アクションとか、嫌いじゃなかったか?」

私はぶんぶんと首を振った。

「むしろ、一番観たかった奴ですよ、これ!」

と、思わず素直に返している自分がいる。

「そうか、良かった。はい。」

いつの間に買ってきていたのか、パンフレットと飲み物を差し出す。

至れり尽くせりだな~。
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