最後の恋愛Ⅱ
車から降りようと、ドアに手をかけると・・

その瞬間ぐっと肩を掴まれて振り返ると同時に大麦が唇を塞いだ。

「うっんむぐっ!」

激しいディープキス、何分してんだって思うようなの。

そんで、はぁはぁと息を上げて唇を離すと、大麦がにまりと笑って言った。

「ここでは所長、はナシだ。」

ふええええ・・・

ナシ、ナシっていうと・・・

紅くなりつつ、ドアを開けてようやく降車。

隣に並ぶ背の高い、見慣れない男を見上げて、サッと目を逸らす。

大麦をからかおうだなんて、百年早かったのかもしれない。

っていうか、所長って呼ばないなら・・・何?

「えっと、お、大麦さん・・・?」

明らかに不満足そうに眉をしかめて言う。

「何で苗字。お試し期間って言っても恋人同士だろ?」

そ、そうか。

確かに高校生でも苗字で呼び合うなんてしないよね。

えっと・・・

大麦・・・

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