最後の恋愛Ⅱ
やっぱり、大麦には女がいたか。

いるよねぇ、そりゃ。

いるよ。

こんなにカッコイイんだもんねぇ。

は!

私、今うっかりこんなにカッコイイと素直に思っていたな。

危ない危ない

大麦の腕から逃れるように数歩身を引いて言う。

「あ、違うの違うの。まだ、付き合ってるとかじゃないから。すみません、所長。私タクシーで帰りますから。どうも、失礼しました。また明日、お疲れ様です。」

と、一気に言い切ってくるりと背を向けてダッシュ。

くそぉ

もう、好きになりかけてたってのに

あんなキスしてきといて

名前で呼べとか言っといて

結局これか!

この仕打ちかぁ!

くぅっ

泣けてくるよ、わが身の情けなさにさぁ!
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