最後の恋愛Ⅱ
そうだよ

「こんな私と付き合ってることがばれると所長に迷惑がかかります。」

ぼや~っとする視界に大麦を映して呟くように答えた。

「だから、どうしてそんな自虐的なわけ?」

自虐的っていうか、たぶん事実であって・・・

大麦と私が付き合ってるなんて知られたら卒倒する子や辞職者が急激に増加するのではないだろうか・・・

って、大分多めに思う。

「大和は、自分のこと分かってなさすぎ。」

・・・

「そうでしょうか、私は私のことをよく分かっていると思いますけど」

大麦は私の額をすっと撫でると微笑んでひざをベッドの上についた。

「そういうこと言ってると、分からせたくなる。」

「え・・・」

「ま、大和の魅力なんて俺だけが、分かってれば良いんだけどさ。俺の女が、そんな卑屈になるのは俺が許せないから。」

私の上に覆いかぶさると、大麦はぎゅっと抱きしめてきた。

「え、だめだめ!私、病人ですよ!」

焦って言ったけど、顔を見るともう、何か本気って顔で、止められるんだろうかこの人を・・。

ごくっと思わず唾を飲んだ。

ふふっと微笑むと喉に噛み付くドラキュラみたいに唇を寄せた。

「ひあ・・・」

つうと舌先でなぞって、思わず声が上がる。

大麦は楽しんでいるみたい。

微笑んで囁く。

「可愛い、大和。」
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