最後の恋愛Ⅱ
「大麦くんにキスされた?!」

意外な声のボリュームに、その驚き度数が計り知れる。

私は、慌ててシーッと声を上げて、辺りを見回した。

「あ、ごめんごめん。ちょっと意外すぎて。へぇ、けど大麦くんが・・・ねぇ。けど、何でまたそうなったの?ハルくんと別れたばっかりよね?」

「・・・そう、なんですけど・・・。」

そうなんだよね。

金曜の夜にフラれて土日に荒くれて月曜に告白されて・・・

今に至る・・・と

急にいろんなことありすぎ

っていうか・・・

やっぱり私、簡単に攻略されそうになりすぎなんじゃないの?

軽くない?

やっぱり、からかわれたんじゃない?

「はい、ストップ!」

またまた止められてはたと立ち止まる。

「しかし、急な展開ねぇ。あの大麦くんが森さんみたいな子を好きになるとはびっくり。」

私みたいな子

いやいや、柳生さんには悪気はない。

それはよく知っている

「これまでと、違うってことですか?」

と、とりあえず聞き返してみる。

柳生はカクテルの入ったグラスを手にうんうんと頷く。

「全然、というか誰にも本気じゃなかった、みたいな。ほら、あいつイケメンでしょ?あんな見せかけだけ優しいだけの男にだってすり寄ってくる女は一杯いるわけよ。」

そりゃ・・・そうだよね

大麦隼人をよ~く見てみて思ったけど、あれは間違いなくイケメンだ。

これまで、異性として考えた事がなかったから、全然意識してなかったんだよね。

確かに、他の女性社員からも人気高いもんね

あ~んなに鬼畜なのにさ・・・
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