最後の恋愛Ⅱ
「だから、っていうわけじゃないけど、森さんのことは本気なんじゃないかなぁ。」

「え?」

「あいつ、そういうとこは浅はかじゃないからさ、前々から狙ってて、別れたって知ったから飛びついたんじゃないの?」

「・・・え」

飛びついたって・・・あの大麦が?

私をずっと・・・狙ってたって?

「そんな、馬鹿な」

「いやいや、恋とかってそういうもんでしょ、理屈じゃないし。確信犯よ、絶対に。」

・・・

「確信犯・・・」

「うんうん、いやぁ、いいじゃないの大麦くん、ああ見えて本当はいい奴よ?ハルくんよりもずっと経済力もあるし、同じ年下と言っても大麦くんの方がよっぽど有望株だって!」

・・・

ん?

「・・・年下?」

「え、そうそう年下。」

「・・・っていうと、所長が?」

「そうそう、確かあいつ30・・・まだなってないんじゃないかな?」

「え?!」

ガタン

まさかの言葉に驚いて立ち上がると椅子が鳴って倒れかけた。

え、だってだって、どう考えても―

「何、年上だと思ってたの?あいつ歳くって見えるもんねぇ。確か、28だったかな?残念ねぇ。」

柳生さん・・・そんな他人事な・・・
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