最後の恋愛Ⅱ
何だって・・・?

今の私の心境とはまったく違う発言が出たな。

誰だ、と思うまでもないね、弥生ちゃんよ・・・。。

「何か楽しい事ないかな~。」

と、言ってのしたり顔でこちらに向ける視線。

おお・・

挑発してんのか?

「ねぇ、森さん?」

間違いないな。

何だ、コラ・・・いつまでも黙ってると思ったら・・・大間違いだぞ?

私は、ただのサラリーマンだけど

もう再就職にも余裕のない年齢だけど

薄月給で薄ボーナスであんまり貯蓄もないけど

とくに手に職があるわけでもなく何の才能もあるわけでもなく嫁に行く予定もないから今、退職すると路頭に迷う可能性もあるわけだけど・・・

昔グレてたわけでも不良だったわけでもないけど

私はにこりと微笑して言った。

「あのね、如月さん、ここ仕事場だから。楽しいとかはないかなぁ?」

がんばれ、プロ意識!

こんな親のすねかじりっ子に振り回されてたまるかぁぁぁ

ふふっと零れる微笑が震えているのが、私の辛抱の証だ。

「え~・・・あるでしょ?面白いオ・ハ・ナ・シ。」

ぎりぎり

と、笑顔の中で歯をかみ締める。

この娘っ子・・・

私を本気にさせる気だな・・・?
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