私の生きた証
「ただいまー。」
「おかえりー。遅かったね。楽しかった?」
「うん」
「ご飯出来てるから食べちゃってー。」
「はーい」
これだけ話してお姉ちゃんは自分の部屋で勉強をはじめた。

今日は餃子か。
お姉ちゃんはお母さんが死んでからずっとご飯を作ってくれているから日に日に上達している。
もう完璧だ。
美味しかった。

今日はお父さんが仕事で遅く、お姉ちゃんは部屋で勉強している。
リビングは私しかいなくて静かだった。
こうなると改めてお母さんが死んでしまったことを実感してしまう。
でも寂しいわけではない。
お母さんが死んでしまったのは悲しいけど死んでしまったからわかった友情がある。
奏多に出逢えた。

“お母さん。
私、今すごく楽しいよ。”
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