私の生きた証
夜。
学校の屋上から飛び降りようと足をかけたとき。

「ねぇ。飛び降りんの?
俺の目の前で人が死ぬってなんか気分悪いんだけど。
俺一生忘れられなくなっちゃうじゃん。」

なんなのこの人。
「なによ‼私の思いなんて何にも知らないのに。」

するとその人は
「うん。知らないよ知らないから言えるんだよ。知ってたら止めようなんて思わない。何も知らないから言えることなんだよ。」

なんか良いこといってる…?いや、言ってないか。
「あなた誰?」
私はその男の言うことなんて無視して聞いた。

「俺?俺は奏多(かなた)杉本奏多。
お前は?」

「わっ、私?なんで知らない人に名前なんて教えなきゃいけないのよ。」

「だって俺教えたし。てか俺の名前聞いてきたのあんたじゃん。だから俺にもあんたの名前聞く権利ぐらいあると思うけど?」

うっ……そっか。

「私は七瀬虹巴(ななせいろは)。」

「いろは?いい名前じゃん。」
そういいながら杉本奏多は笑った。

これがわたしと奏多の出会い。
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